お客様事例

株式会社読売情報開発 様

SOAを目指したWeb受発注システムを構築 intra-mart 基幹システムのフロントWebシステム構築

カテゴリー: サービス業  intra-mart

事例概要

読売グループの一員である株式会社読売情報開発(以下、読売情報開発)は、新聞の販売・サービス活動の支援を主たる目的として、1972年に設立されました。読売新聞東京本社管内にある約3,000の新聞販売店を顧客とし、景品の販売や店舗運営資材の提供をはじめ、保険の斡旋、読者向け媒体の制作、サービス商品の開発、通信販売事業など、多岐にわたる業務を行っています。
同社では、IBM i を基盤システムとして、部門ごとに異なる独自の自社開発ソフトを使用しており、さらに景品本部に関しては外部サービス(ASP)を利用している状況でした。今回、景品本部が利用していたASPサービスが終了となることを機に、将来的な各部門システムの統合を含めた拡張性を考慮して、統合フレームワーク『intra-mart』(以下、intra-mart)と『WebSphere Enterprise Service Business』(以下、WebSphere ESB)を採用し、SOAを目指した「Web受発注システム」を自社サービスとして構築しました。

導入の経緯

ASPの終了にともない 、長期的視野から自社システム構築の道を模索

読売情報開発さまの景品本部は、2002年1月に読売グループの景品販売会社である株式会社O(以下、O社)の吸収合併を契機に発足しました。

当初、受発注システム等はO社で使用していたものを引き継いで使用していましたが、2002年夏以降の急激な業務拡大に伴い、その膨大な受発注業務の情報管理を行うには既存のシステムでは対応しきれないとしてASPによる外部サービスを採用し、以降、そのままASPを利用してきました。一方、管理系データベースは、O社時代から使われていたACCESSのDBを引き続き使用していました。

ところが、2006年4月、ASP事業者の都合により、従来のASPサービスが翌年3月末で終了することとなりました。

「ASPで機能的にとくに問題があったわけではありません。しかし、新しい契約を結んで同様のサービスを継続しようとすると、格段に利用料金が上がってしまうことが判明しました。それならば自社でシステムをつくっても同じではないか、というのが今回のプロジェクトの発端でした」と、読売情報開発 情報システム部の青木信幸部長は言います。

「読売新聞販売店という限られたマーケットを対象とした事業であり、そのなかで利益を上げていくためには、やはりコストダウン、効率化といった課題をクリアしていかなければなりません。また、他方で景品本部のアプリケーションとそれ以外の部門とでは、全く異なるアプリを使用していた現実もありました。そこで、既ASPサービスの終了に伴う景品本部の受発注システムの移行を一つのチャンスと捉え、既存システムへの緩やかな統合を行い、且つ、将来的に各部門への拡張性を視野に入れたシステム構築を目指したのです」

お客様ニーズ

業務の無駄を廃し、他部門システムとの統合を目指す

新システムの検討に当たって、読売情報開発では具体的に次のような課題を掲げました。

一点目が、景品本部の業務の省力化です。景品本部では、受発注システムにASPを使用し、帳票類はACCESSを使った部門独自のプログラムで発行していました。そのため、帳票類の出力や会計システムへの入力の際には、外部サービスから情報をいったん取り込み、加工しなければなりませんでした。そこで新システム導入を機に、こうした帳票類の自動発行を可能にしたいと考えました。あわせてDBにも手を加え、既存の基幹システムであるIBM i に緩やかに統合する方向を目指しました。

二点目が、将来的な他部門システムとの統合です。現在、景品本部の受発注に関しては、お客さまであります販売店の約8割が電話、ファックスなどで商品を注文しており、オペレーターがそれらの情報をお客さまの代わりに受発注システムに入力しています。これはオペレーターのいない他部門も同様で、電話の応対や入力作業などに多くの時間が割かれるため、担当者は本来業務に注力できない現状がありました。 そこで、Webシステム自体をより使いやすくし、Webからのオーダーを促進するとともに、将来的に他部門システムとも連携を図り、お客さま窓口の一本化によるオペレーティング作業の無駄をなくすことを目標としました。

2006年4月、従来のシステム要件を開示して、それに準拠するかたちでIBMを含む6社からの提案・検討が行なわれ、最終的にWebSphere ESBとintra-martを組み合わせたシステムが採用されました。「各社とも見積額に大きな差がなかったので、先進的なSOAを組み込んでいて将来性が期待できること、また、 IBM i の信頼性などを考慮して最終的な判断をしました」(青木部長)。

他社が提案したシステム構成は、ほとんどがWindowsサーバーを前提として、そこにOracleなどのDBを搭載するというものでした。この点について、青木部長は次のように語ります。「当社でも経理システムがWindowsサーバーを使用していますが、マシンの更新時期などの管理は非常に煩雑になっています。今回は社外向けシステムということもあり、何かあったときに対応できない状況はどうしても避けなければなりませんでした。その点、 IBM i を使ったDBシステムであれば、不具合が生じた際、自分たちで解決することも可能です」。

システム導入に際しては、同年5月から数十回にわたり、システム説明会が開催され、並行してACCESSのDBのファイルを解析し、8月にかけてシステムの要件を詰めてインフラを整備する、というスケジュールを作成しました。

システムの稼働開始は、社外のお客さまや協力会社に対して事前にアナウンスしていた都合上、カットオーバーは、当初から翌2007年4月1日と決められていました。この日付だけは動かせないという条件があったため、4月1日にサービスインする機能を切り分け、集中して作業を進めた結果、約1年弱という短期間にもかかわらず、大きな問題もなく予定どおりにシステムの稼働を開始することができました。

 

システムの要点

「intra-mart」の採用により開発工数とコストを削減

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従来、ASPを利用していた部分については、自社サービスとして、intra-martを利用したWeb受発注システムを構築しました。一方、 ACCESSで動いていたDBはIBM i に統合し、さらに今後の拡張性を考慮に入れ、将来的な全社サービスのSOA化を実現するために、WebSphere ESBを採用しました。また、社外向けシステムということもあり、障害予測機能を持つIBM BladeCenterを導入し、システムの安全性を確保しました。これにより、景品本部の独自アプリケーションとIBM i 上で稼働していた各 部門ごとに独自開発・運用していたアプリケーションとの速やかな統合が実現したのです。

今回だけを見ると、“景品本部の受発注システムの移行”という位置づけですが、実際には次のフェーズである他部門システムとの統合を視野に入れてい るため、SOAを取り込むなど、全体として大掛かりなシステム構成となっています。ここで全体のコストを下げるカギとなったのが、Webシステム構築を短 期かつ高品質に実現するフレームワーク「intra-mart」でした。

intra-martは、Webシステム構築に必要なさまざまな機能をモジュール化して提供しており、これらを組み合わせることで、複雑なWebシ ステム でも少ない開発工数で短期間に構築することが可能です。この特性を活かし、パッケージでもなく、ゼロからの開発でもなく、フレームワークを使って短期にオ リジナルのシステムを構築することができました。さらに保守フェーズの人員も少なくて済むため、運用コストの削減にも成功しました。

成果と展望

効率化と経営戦略の基盤としてのシステム

Web受発注システムについては、基本的にASPの機能を反映させているため、お客様をはじめとするユーザーが違和感なく、スムーズに新システムに移行できたことが、現時点での大きな成果といえます。

「もちろん、細かく改善された点は多数あります。たとえば、Webで注文をした販売店が電話で重複して注文を入れた際にアラートを発し、ミスを防ぐ ことができるようになりました。また、同一オーナーが複数の販売店を運営している場合、従来は各販売店宛ての請求書を手作業で抜き出してまとめて発送して いましたが、それが自動で出るようになりました。そうした個々の作業の効率化も大切ですが、今回のシステムの成果が本当に表れてくるのは、じつはこれから なのです」と青木部長は語ります。

現在、読売情報開発では、2008年4月のカットオーバーを目標に、第2フェーズとして、他3部門の新システム構築を平行して進めています。

「今回、intra-martというフレームワークを採用したことにより、第2フェーズの3部門のシステム開発が非常に容易になりました。どの部門 も同じポリシーで開発されるため、今後は担当者個人のスキルに依存しないシステムを構築することが可能です。システムが統合され、電話の応対やその後の入 力作業が景品本部のオペレーターに集約されれば、部門担当者は本業に注力することができ、売り上げ拡大のチャンスも広がるのです」

また、DBの統合によるデータの有効活用もこれからの課題です。「読売情報開発で扱う情報は、大きく捉えると販売店情報と商品情報の二つです。これ までは、これらの情報を部門ごとに保持していましたが、今後は全部門での取引状況が細かく分析できるようになり、数字を元に商品別、販売店別の全社的な戦 略を立てることができるようになるはずです」

今はまだ、販売店とのやり取りは電話やファックスが中心で、Webシステムの利用が活発とはいえない状況ですが、今後、販売店の世代交代が進み若いオーナーが多く出てくると、その状況は大きく変わる可能性を持っています。青木部長は、次のように締めくくりました。

「いずれは販売店にとっても、Webシステムはなくてはならない存在になるでしょう。将来的には単なる受発注システムの枠を超えて、読売新聞社の業 務連絡システムとの連携なども含め、販売店と読売情報開発、あるいは読売新聞社との情報共有のインフラになるかもしれません。SOAを実現した今回のシス テムは、そうした大きな変革にも柔軟に対応できるものと期待しています」

お客様プロフィール

お客様名
株式会社読売情報開発
所在地
東京都千代田区平河町2-13-3
URL
http://www.yomiuri-johkai.co.jp/
事業内容
読売新聞東京本社の販売政策に沿った販売促進活動やYC(読売センター=読売新聞販売店)向け各種保険、宣伝PR物品、資材・OA機器の研究開発と斡旋。
さらに通信販売から各種イベントの企画・開催と多角的な業務を展開。